ゲストハウスの猫

ゲストハウスの猫、ヴァイノ・ヤルマル・ゴースは2001年9月のある雨の日、森からひょっこり様子を見にクレモラへやってきた。

最初は子供用の遊び小屋のほうへ、それから地面に寝転がりおなかを見せた。まるで「僕をお家に連れてって」と言っているかのように。

何度となく週末になると同じことが繰り返された。階段にはえさがあり、それを食べては森の中へと消えていく。しかし、ある嵐の晩、ヴァイノは家の中に入ってきた。その晩はそこで過ごし、私のとなりで寝た。朝には床に粗相をし、ドアから森へと出て行った。

10月になり寒くなると、とうとう家に来るようになった。ゴッドマザー(後見人)のおかげで獣医さんがわざわざ来て去勢手術を受けることもできた。めでたし、めでたし。野良猫が飼い猫になった。猫のためにシャンパンでお祝いする本格的洗礼式まで行った!名前をヴァイノ・ヤルマル・ゴースとした。

最初、多くの人がその巨大な大きさとある種の固定観念でヴァイノを怖がった。私は一度も怖いと思ったことはない。そういえば子供の頃にトラやライオンの子供が欲しいと思っていた。その夢は、けしてかなわなかったけれど、でもきっと今になって母が空の上から私にヴァイノを授けてくれたのだろう。

ヴァイノと過ごした16年もの間は私の人生の中でも最良の時だった。ちょっと足が不自由になり肝臓の調子も良くなかったが、食事と薬でどうにかなった。そして一緒に足をひきずりながら階段をおりるとヴァイノは前でじっと見ていた。私が後からちゃんとついてくるか、大丈夫か、自分はもう外にいるよ、と言うかのように。

ヴィッラゴースのお客様たちはヴァイノが大好きだった。ヴァイノは社交的で好奇心旺盛だった。この場所で何が起こるのか知りたかった。

ネズミ、リス、ウサギの子を捕まえた。

猫にとって、ここは成長し、学ぶ場でもあった。

猫は獣である。でも繊細でもある。そう繊細で賢い。私はそう思っている。

ヴァイノ・ヤルマル 11.9.2001-22.1.2018

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